【今週のQ&A】 中古戸建てを購入してリフォーム。耐用年数は?

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■ 税務相談質問箱
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今週のQ&A

Q1 中古戸建てを購入してリフォーム。耐用年数は?
Q2 収益物件の地震保険料は、地震保険料控除の対象になる?
Q3 インボイス制度後に消費税率変更。契約書の再度締結が必要?

(Q1)中古戸建てを購入してリフォーム。耐用年数は?

来年、初めて確定申告します。

2020年に670万円で築30年の戸建てを現金で購入しました。

同じ年に現金で500万円かけて屋根塗装、外壁塗装、耐震改修、キッチン、お風
呂、などの内装と設備の取り替え、修繕をして、2021年から賃貸にしました。

(1)耐用年数は何年になるのでしょうか?

670+500=1170
670÷4=167.5
500÷22=22.7
1170÷167.5+22.7
167.5+22.7=190.2
1170÷190.2=6.15 耐用年数6年
耐用年数=減価償却 6年で良いですか?

(2)計上できる経費

無料Wi-Fiの代金、火災保険、地震保険、固定資産税は、必要経費で宜しいですか?

(A1)

(1)中古の耐用年数について

固定資産について、事業を開始する前に支出した費用は、固定資産を取得する
ために要した費用と考えられます。
内容が修繕のための支出であったとしても、修繕費として必要経費に計上はで
きません。

したがって500万円を資産計上するのは、合っております。

しかし、670万円の購入金額は、土地と建物を構成するのではないでしょうか。

売買契約書に土地と建物の区分の内訳が記載されてなければ、固定資産税評価
額で按分するなど合理的に区分する必要があります。

建物の購入金額が算出された上で、下記の算式に当てはめて耐用年数を計算す
ることになります。

≪リフォーム費用が取得価額×50%を超える場合≫

(中古資産の取得価額+資本的支出額)÷(中古資産の取得価額/簡便法で計
算した耐用年数+資本的支出額/中古資産の耐用年数)

なお、《リフォーム費用が再取得価額×50%を超える場合》は法定耐用年数
(木造なら22年)を使うことになりますが、金額的には、再取得価額の50
%は超えないかと思われます。

(2)計上できる経費

◯無料Wi-Fiの代金
⇒月々の使用料は経費です。設備導入代は、金額によって資産計上が必要です。

◯火災保険、地震保険
⇒年払いであれば全額経費です。長期一括払いなら、その年に対応する金額を
計算して経費にします。

◯固定資産税
⇒2021年以降の固定資産税は経費です。

購入時の固定資産税清算金は資産計上です。
土地と建物の比率で分けて、それぞれに計上します。


(Q2)収益物件の地震保険料は、地震保険料控除の対象になる?

当方はサラリーマン大家(個人事業主)ですが、自身が住んでいない収益物件の
地震保険料は年末調整もしくは確定申告で控除申請出来るのでしょうか?

(A2)

地震保険料控除で、対象となる保険契約は、
「自己や自己と生計を一にする配偶者その他の親族の所有する家屋で常時居住
の用に供するもの又は生活に通常必要な家具、じゅう器、衣服などの生活用動
産を保険や共済の対象としているもの」
です。

つまり、自宅や自宅の中にある家財が対象になります。

賃貸物件の地震保険料は、不動産所得の経費にするものになりますので、地震
保険料控除は受けることはできません。

収益物件であっても、地震保険料控除証明書のハガキが送られてきますが、控
除できないため、年末調整などで提出しないようにしてください。


(Q3)インボイス制度後に消費税率変更。契約書の再度締結が必要?

インボイス制度が始まった場合、毎月請求書を発行しないために、賃貸借契約
書にインボイス登録番号や消費税額などを記載する必要があると思います。

もし消費税率が変更になった場合に、契約書を再度締結しなければならなくな
るのでしょうか?

できれば消費税率を書きたくないのですが。

(A3)

毎月の請求書(インボイス)がなくても、賃貸契約書に下記(2)以外の記載が
ある場合には、借主がその契約書とともに、(2)の取引年月日の事実を示すた
めの通帳や銀行が発行した振込金受取書を保存することで、仕入税額控除の要件
を満たすこととなります。

《インボイスに記載する必要事項》
(1)請求書発行者の氏名又は名称及び登録番号
(2)取引年月日
(3)取引内容(軽減税率対象品目である旨)
(4)税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
(5)税率ごとに区分した消費税等
(6)書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称(宛名)

しかし、消費税率を記載してしまうと、将来消費税率が変更した場合に、契約書
を再度締結しなおさなければならないのかという疑問があります。

賃貸借契約書に下記文言を入れて、消費税率が変更があっても契約書を変更しな
くてよいようにしていることがある。

(例)
「賃料は、税法の改正により消費税等の税率が増減した場合には、新税率適用日
以降における税率により計算した賃料額とする。」

これとインボイスに記載する必要事項と矛盾が生じてしまうことになります。

国税庁のQ&Aでは
「令和5年9月30日以前からの契約について、契約書に登録番号等の適格請求書
として必要な事項の記載が不足している場合には、別途、登録番号等の記載が
不足していた事項の通知を受け、契約書とともに保存していれば差し支えありま
せん。」

インボイス登録番号を想定しているものですが、「登録番号等」とあるように
他の記載事項にも適用できると考えます。

したがって、消費税率が変更があった場合には、
消費税率、消費税額を記載した通知を借主に送ればよいことになろうかと思います。

(例)令和◯年◯月以降のご案内

消費税率が変更することに伴い賃貸借契約書を下記の通りに変更になります。
契約書と併せて本書の保管をお願いします。
消費税率:◯%
消費税額:◯◯◯円

こちらはメールなどの通知でもよいとされています。